札幌交響楽団ティンパニー・打楽器奏者、日本カスタネット協会会長 真貝裕司
このページは皆さんのカスタネットに関する質問に答えながら作って行きます。
質問のある方はトップページにある掲示板かメールでお寄せください。
このページで答えて行きます。
Q:「カ・レ・ティ・ヤ」は、左手でも出来た方が良いんでしょうか?
またそれで演奏する例はありますか?
ロールなどは、なめらかに出来そうな気がするんですが・・,
どうでしょうか?
くだらない質問ですが、よろしくお願いします。 佐藤周平
A:全然くだらない質問ではありません。私も当然考えました。
フラメンコ・カスタネットの伝統的な奏法としては、「カ・レ・ティ・ヤ」は右手だけです。
今までに、左手(左利きの人は右手になる)でも演奏している人を私は見たことがありません。
ですから、ロールは右手の「カレティヤ」と左手の「タン」の連続で5連音符となります。
ロールはこれで充分ですし、伝統的なフラメンコ・カスタネットらしさもここにあると思います。
迷わずに、まず右手の「カレティヤ」を練習して下さい。
しかしながら、打楽器的(スネアドラム的)発想から考えると両方でも演奏したくなります。
そこで私は左手と右手の「カレティヤ」を交互にする奏法をスーパーテクニックとして、
取り入れて見ました。
これを「エイトロール」と名付けました。
3月の東京でのレクチャーでも「エイトロール」を使いました。
なかなかいいものです。
打楽器を叩く為の左手の強化練習にもなります。
でもこれはあくまでも変則的なことで例外として考えておくほうが良いと思います。
ここで気を付けなければならない事は、
まず前頁で説明した基本をしっかりと身に付けることを最優先にすることです。
それから次に進みましょう。
Q:フラメンコ・カスタネットのスーパーテクニックについて教えてください.
A:私はフラメンコ・カスタネット奏法の中でも、実際に演奏してみて、少し難しいけれども効果的で面白いと思われるテクニックを「スーパーテクニック」として私自身で勝手に命名して使っています。
以下に、名前と特徴を紹介します。
奏法等はこのページで説明するのは難しいので、皆さん実際に私の演奏会等で確かめてください。
『エイトロール』
左手と右手のカレティヤを交互に連続して行う奏法。細かく滑らかなロールができる。
左手強化にも良い。
ただし、この奏法は伝統的なカスタネット奏法にはないので出来なくても良い。
『ルセロ・テナ』
これは「ルセロ・テナ」が最も得意とする代表的な奏法の一つです。
ポスを交えたとても華やかでリズミカルな奏法です。
『スペイン』
2つ打ちとポス、ホス(ポスの変型奏法でホスと名づけた)を組み合わせた華やかな奏法。
速く演奏するのは効果的ではあるが、かなり大変。
『真貝スペシャル・Bロール』
ボディを使ったロールでパワフルな音が出せる。音色は少し暗い。
『真貝スペシャル・Fロール』
「Bロール」の音色改良のためにフィンガーを使ったロールで、「Bロール」よりもかなり明るい音色が出せる。
『サグレーラス』
はちすずめに使うために私が考えた奏法で、左手のカレティヤにポスを組み合わせたもの。
『ヘルナンデス』
おそらくルセロ・テナも使っていないと思われる奏法でポスにオス(親指の付け根のふくらみで押す奏法でオスと名付けた)を組み会わせた3連ロールで、かなり派手な音がし、演奏効果も抜群な少し発想の変った奏法。
『ヘルナンデスのバリエーションA』
私が考えたものであるが『ヘルナンデス』より少し音色の派手さを抑えた奏法である。
基本的に少し変った発想のところは同じであるが、左手親指の負担が大きい。
2つを組み合わせても良いし、それぞれ一つのテクニックとしても使える。
以上『スーパーテクニック』を紹介しました。
皆さんも色々と自分で考えて見てはいかがでしょうか・・・?結構面白いと思いますよ。
カスタネットの可能性はまだまだこれから広がると思います。
Q:今までは友人のカスタネットを使わせてもらっていましたので、マイ・カスタネットを探したいと思っています。お勧めのブランドなど教えていただけないでしょうか。
また、お値段はいくらくらいのものがよろしいでしょうか。
マイ・カスタを持ち歩いて、機会を見つけたら、すかさずさっと取り出して練習。
・・・かっこいい〜・・・おまけに左手の練習になり、ボケ防止にも・・・。使用楽器を他の団体が使っていて、練習する楽器がなく悲しい時などにも別室でカスタネットを練習・・・う〜ん、良さそうです。
カスタネットは結構響きますが、一緒に練習する人の迷惑にならないような、消音方法なども教えていただけるとありがたいです。
あつかましい私ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 ひらもこ
A:現在打楽器関係の楽器屋さんで出回っている中では「ホセ」のカスタネットが多いと思います。
「ホセ」とは「ホセ・タルガぺロ」という人の名前です。
あのカスタネットの女王「ルセロ・テナ」のカスタネットはホセ・タルガペロさんが特注で作っています。
この「ホセ」ブランドのカスタネットだけでも、36種類ものモデルがあります。
その内日本に入ってきているものは数種類ですが、その中から選んで良いと思います。
オーケストラでも使うのであればこれが良いと思います。
値段は1万〜1万5千円くらいです。高いものほど音は良いのですが、練習に使うのでしたら普及版で充分です。
その他のメーカーの物も出ていますので、自分で叩いてみて良い音がして、大きさも自分の手にピタリと合ってやり易いカスタネットが一番良いカスタネットです。
また、フラメンコ・ショップでもカスタネットは扱っており店によってはかなりの数のカスタネットを置いてあるところもあるようです。
材質も黒檀、紫檀、ローズウッド、グラナディージョ(ザクロの木)、フィブラ(合成樹脂)、テラ(圧縮布)、ビドリオ(人口象牙)・・・等たくさんの種類があります。
大きさや形も何種類かありますし、一つ一つの音も全部違います。
フラメンコの先生は割合低い音を好むようで、低い音のカスタネットが値段が高かったり(3万8千円とか)します。
しかし、あまり低い音はオーケストラには合いません。やはり自分で叩いてみて気に入ったものを選んでください。同じ形に見えてもやりやすいものとそうでないものとがあります。
さて、消音についてですが、写真の様にゴムを付けたり、薄いフェルトをテープで貼ったりするとかなりの消音になります。
写真のカスタネットにかぶせてあるゴムはフラメンコ・ショップで最近発売になったのですが、消音用ゴムで980円でした。
フェルトの代わりに、フランネルや皮でも良いと思います。
厚さを変えることで音も変りますので、自分で音と感触を確かめながら色々と工夫をしてみてください。
注意する事は、手前(内側)のカスタネットに消音をして指の邪魔にならないように付ける事です。
私の場合は練習専用のカスタネット(写真)やオーケストラ用、ソロ用、レッスン用、貸し出し用等10種類くらいのカスタネットを持っています。
No.1
カスタネット練習時の消音について
下の写真はフラメンコショップで売っている細い毛糸で編んだ
消音用のカバーで、袋状になっていてカスタネットにかぶせて
叩くと音がかなり小さくなります。
叩く感触は変わらないので、練習には最適です。